カフェのバイトが終わって、直で蓮の家に向かう。

蓮の家に行って家事とかをしているの。

洗濯とか皿洗いとか色々。

家政婦みたいだよね…。

ピンポーン!

蓮のマンションに着き、インターホンを鳴らす。


ガチャ…

「蓮。来たよ!」

「あぁ、入って」

「うん!」


蓮は基本家では本ばかり読んでいて、ほとんど話したりしない。


「蓮~!洗濯物溜まってるからしとくよ?」

「あぁ。」

返事が返ってくるだけまだマシか。たまに無視だもん。

洗い物をしてから洗濯物をやろう。


洗い物をしていて最近思ったことがある。

あれだけ携帯をいじっていなかった蓮が、最近はずっといじっている。

そう、ずっと…。

学校でも、休みの日でも。


「ねぇ、蓮。さっきから何してるの?」


聞きながら携帯を覗き込んだ。

「あぁ?何ってメール。」

「いや、それはわかるけど、最近ずっといじってるから…。」

「バイトのこととか仲間のこととかだ。最近忙しくてな。」

「そっか。」

「風呂入る。服洗っといて。」

「わかった。」


バイトのことなんかじゃない。女だ…。

覗き込んだ時内容が見えた。


“昨日はバイトお疲れ様!
蓮くんにお願いされたら断れないよね~❤
電話でもメールでも待ってるから!”


やっぱり、私の片想いだったんだ…。

そう思うと、悔しかった。

洗濯物を洗濯機にいれているとき、ふと脱ぎ捨てられた服に埋もれる携帯に目が行った。

一気に嫉妬心が湧いてきて、服と一緒に洗濯機に回した。


ソファーに座っていると、蓮が風呂から上がって何かを探していた。

「なぁ、姫。携帯知らないか?」

「携帯?知らないけど、どこかに置いたんじゃないの?」

私は最低だ。

「確か、脱衣所に置いたはずなんだ。」

「脱衣所…?蓮。もしかしたら、洗濯したかも…。」

「はぁ?まじ?」


洗濯機から携帯を探し出し、乾かした。

「乾かしても無理そうだね…。
ごめんね。ちゃんとポケット確認してから洗濯する。」

「いや、いいよ。金貯めてまた買いなおすから。」

「でも、携帯ないと不便でしょ…?」

「いいよ。元々、そんなに使ってねぇーし。」

「ごめんね…」

消え入りそうな声で発した言葉蓮の耳に届くことなく消えた。


何をやっているんだろう。

最低だ。

携帯、弁償しなきゃ…。

「ねぇ、蓮。明日バイトが入ってるの。だから来れないと思う。」

「わかった。」