プルプルプルプルプルッ!

「ん~!だぁれ?」

スマホの画面を覗き込む。蓮だ!

明道 蓮。
暴走族の総長でイケメンで優しい私の彼氏です!


ピッ

「もしもし?」

「姫!お前何時だと思ってるんだ!もう10時だぞ?!」

ゲッ!今日学校じゃん!やばいよ~!

「ご、ごめんなさい!今から行くー!」

「早く来い!」  ブチッ!


相当怒ってるよ~‼

急いで起きた。テーブルには置手紙と名刺が置いてあった。


“また誘ってね。お金は置いといたから。
私は仕事があるから先に行かしてもらうね。”


そう書いてあった。

そうだ、昨日寝たんだ…。家に帰ってお風呂に入ろう。

他の男の人と寝て、お金を貰っていることは蓮には言ったことはない。

言ったって軽蔑されて嫌われるだけ。


蓮は、世界№1の暴走族の総長なのだからバレないようにするのは大変。

いつも、変装しているけど蓮なら一発でバレる…。


彼氏がいるのに最低だよね。お金を貸してもらうのは嫌だから頼らない。


それが、生きるために身につけた私の生き方だ。


着替えて、荷物を持ってホテルをすぐさま出た。

周りに気を使いながら、家に帰りお風呂に入る。

私の住んでいるアパートはおんぼろアパート。ほとんど家にいないから部屋もすっからかんだ。


急いで用意をして学校に向かった。

教室に入ると、怒りMAXの蓮が椅子に座って待っていた。


「れ、蓮…。おはよう。」

「姫。遅い!こんな時間まで何をしてたんだ。」

「ね、寝てました…。」

「昨日何をしていた。」

「友達と、久しぶりに会って夜通し遊んでました。」

「あっそ。明日からちゃんと来いよ。」

「はい。」


これが私の彼氏なのだが…。

やり取りを聞いてもカレカノの会話じゃないよね…。


蓮と出会ったのは、入学式の日。

私は先輩に絡まれてた。そんな時、蓮に助けてもらって一目惚れをしたの。

その日、蓮に告白した。

答えはyes.

でも、その時言われたの。

『俺はお前を愛せない。それでもいいのか?』って。


私はそれでもいいと答えた。

そばにいれればいいって思ってたけど、蓮は女遊びが激しい人だった。

初めは浮気とかしてた。でも、徐々に女遊びもなくなった。

ケータイを触っているのもほとんど見ない。


“期待、うぬぼれ”


そんな感情が私を支配していく。

私は蓮に対して酷いことをしているのに。

蓮との出会いはそんな感じ、それですごく優しい人。

蓮にも仲間がいる。暴走族の総長だから。

何かあるときは、絶対に私とは接触してくれないし、そもそも倉庫にも連れて行ってもらったことがない。

危ない期間は私は一人。どんどん寂しくなっていくの。

そんな頃かな。私が体を売り始めたのは…。

蓮には申し訳ないと思ってる。でも、今はお金が必要なの。


いつ、蓮に捨てられるのか怖い。

付き合っていても、所詮片想いだから…。