こいつと歩いていると、こいつがどれほどモテているのかが実感できる。

廊下を歩くだけで女子の歓声。

こいつが手を振り返すと女子は頬を赤く染める。

確かにね、顔だ・け・はいいけど、
本性最悪だよ?

口は悪いし、考えていること腹黒いし……

絶対にみんな騙されてるよ。

この佐川叶多に。





「鈴の家どこ?」

「最寄り駅から登り方向に2駅先。」

「まじか!最寄り駅一緒じゃん。」

え……まさかのご近所ですか……

あれ?でも、いつも会わないよね?

「知らなかったわ。まあ、騒がれるとめんどいから、いつも7時に学校着くように行ってるし、帰りも女子をまいてから帰っているから当たり前か。」

知らなかった。

「あんたも結構苦労してたんだね。」

結局、私も回りと一緒で、こいつの表面しか見ていなかったんだ……

さんざん嫌ってきたけど、こいつとちゃんと向き合おうとしないで、ただ嫌いって言っていたなんて、恥ずかしい。

「でも、明日からは一緒に学校行くんだし平気だろ。」

あれ?

「いつ、明日も学校行くなんて話したっけ?」

「今、話してるじゃん。」

はあ?

「私は言ってないよねって意味で聞いたんだけど。」

「まあまあ、細かいことは気にするなって。」

気にするっつーの!!!