「今日も行くのか」

出かける準備をしていると、後ろから呼び止められた

このやりとりをするのも何回目だろう


「勝手にしろって言ったでしょ?」

「それは昨日の話だ。一週間通わせて何の進展もねぇんだから、行かせるだけ無駄だろ」

「無駄かどうかは私が決める」

私のしていることが意味の無いことだと言われたようで悔しかった


身長が高く威圧感のある彼に少し怯んだが、変わらず睨み続けた

「もう、あそこへは行くな」

「…な、んでそんなこと言われなきゃいけないの……!?」

「過去は過去だ。過ぎ去った時間、価値のないもの」

「価値ならあるよ!過去の思い出はお金じゃ買えない!!」

「その"思い出"は幸せだったってことが前提だろ。もし不幸な人生を送っていても、その記憶を取り戻したいか?」