3月9日、今日 私は3年間お世話になった学校を卒業する。


それほど社交的ではない私には、キラキラとした青春なんてものはあまりなかったように思う。


キラキラしていなくても。


それでも、私にとってこの学校は、校舎は、大切な思い出に満ち溢れている。



「3組代表、伊原 未来。」



卒業証書授与式が開かれている講堂。

舞台の中央に立つ校長先生。

舞台下のマイクの前に立つ担任。


名前を呼ばれて 私は壇上へ上がる。


校長先生の元で私のクラス分全員の卒業証書を受け取る。



「3年3組1番伊原未来。卒業おめでとう。」



名簿番号が1番だから、私がクラスの代表。


私はクラス内でも目立たない地味なグループの1人。


高校生活最後の行事のクラス代表は派手なグループの子とか、それこそ学級委員の方が適役のはず。


それでも、クラス代表決めが難航したとき 先生が指名したのは私だった。


どうして私なの?とは思ったけれど、先生に頼られている事実が嬉しくて 引き受けてしまった。