君だけに愛を乞う

「え~、だって小暮は今フリーでしょ?食事に誘ってもいいじゃん」

その言葉を聞いて彼はツカツカと私達のそばまで歩いて来た。

「美月はフリーじゃない。俺のだ」

そうキッパリと言い、私の腕を取った。

そしてデスク上のバッグまで手に取ると、私の腕を引いて大股で歩き始めた。

引っ張られて歩く私は宮田くんに「ごめんね」と謝ると、彼はまた宮田くんの方を振り向いた。

「全くお前は~。前も美月を誘うなって言っただろ?」

その言葉に「フッ」と鼻で笑った宮田くんを残して、私は彼に引かれるままフロアを出た。

そしてエレベーターを待っている間に隣に立つ彼を見上げる。

「ねえ...」

「ん?」

私に視線を移した彼に、今さっき気になったことを聞いてみる。

「前も私を誘わないように宮田くんに言ったって..何のこと?」

「......」

聞いたことに答えてくれない。

「ねえ...教えてよ。何のこと?」

「‥‥教えない」

「えー、何それ。教えてよ」

答えてくれない彼を睨んでいるとエレベーターが到着して、そのまま中に乗せられた。

彼が1階のボタンを押して扉が閉まる。

そのタイミングで彼に腕を引き寄せられて、唇を重ねられた。

「...っん..」 

急な事に息が漏れる。

そんな私を強く抱きしめ、キスがどんどん深くなっていく。

思わず彼の腕を叩くけど、身体を離してくれない。

私の唇を味わうように、顔の角度を変えて何度も触れてくる。

その時到着のチャイムが鳴り、1階に着くことを知らせた。

すると私の耳元に唇を寄せてささやいた。

「このまま連れて帰るよ」

その吐息のような声に耳から首筋まで刺激されて、私は言葉を返せない。

ただ顔には表情が出ていたのか、彼は私を見るとにっこり笑って、扉が開くと手をつないで歩き始めた。