君だけに愛を乞う

自分のデスクで急いで帰り支度をしていると、宮田くんがフロアに戻ってきた。

「小暮~、お疲れ」

「あれ?まだ残っていたの?」

「ああ、資料室にいた」

「そうなんだ、お疲れ様」

笑顔を向けると宮田くんもにっこりと笑みを見せた。

そのまま宮田くんは私のデスクまで来ると隣のデスクのイスに座り、また笑顔を見せた。

「小暮はもう帰るの?」

「うん」

「そっか。じゃあさ~、久しぶりに飯食べに行かない?」

「えっ?」

急に誘われて返事が出てこない。

最近は一緒に食事に行くこともなくなっていたから、このタイミングに驚きと戸惑いが混ざる。

「僕も仕事終わったから行こうよ、ね?」

「えっと、...ん....あのね..」

積極的に話を進めていく宮田くんに、更に戸惑いながらも蒼汰を待たせていることを伝えようとした時、私の言葉を消す声が割って入った。

「おい宮田!お前~どういうつもりだ」

「ん?何が?」

広報部の入り口で眉間にしわを寄せて立っている彼に、宮田くんはしれっと返す。

「ここに居る俺の目の前を通り過ぎて、よくその台詞を言うな」

「台詞って?」

「美月を誘っていることだよ」

そんな会話を聞いて私はオタオタしてしまう。

決して彼は怒っているわけではなく拗ねている感じだけど、彼がいることを知っていて宮田くんが私を誘う意味がよく分からない。