君だけに愛を乞う

「美月、どうした?」

覗き込むように身をかがめ、私と視線を合わせてくる彼を見つめていると、「ん?どうした?」ともう一度聞いてきた。

私が言うことは....伝えたいことは...。

「あの...ケーキ..」

「ああ、見た?」

にっこり笑う彼は、前と何も変わらない。

優しくて、かっこいい。

「うん」

頷いて見せる私に彼はクスッと笑って応えた。

何でだろう、嬉しいのに恥ずかしくなって視線が落ちる。

わずかな間沈黙になって、今ここに来た理由を思い出す。

「あのさ...ケーキありがとう」

「うん、誕生日おめでとう」

「ありがとう...覚えていてくれたんだね」

「あたりまえだろ」

苦笑する彼の顔を見て胸が苦しくなった。

あたりまえと言ってくれる彼に、私は何故と問いたくなる。

「ねえ...どうして?」

「ん?何が?」

首を傾げて私を見る彼は、私の思考を探ろうとしている。

「何で優しくしてくれるの?」

「ん~、何でだろうね」

楽しそうに答える彼は少し意地悪。

「どうしてひどいことを言ったり傷つけたのに、笑ってくれるの?」

「どうしてだろうね」

オウム返しで楽しんでいる彼を上目遣いに睨むと「ごめん」ってまた笑って言った。

何だか困惑して、さっきより声を荒げて言った。

「私達別れたのに....」

そう言ったのに今度は何も返ってこない。

あれ?って思い彼を見上げると、無表情な顔で私をじっと見ている。