そんなこんなで連れてこられたクラブにはガラの悪い男たちや夜の蝶かってくらいケバい女たちがキャッキャとはしゃいでいた。
「ほら、行くよ!」
なによりそんな奴らと負けず劣らずな雰囲気を醸し出しているリカコは妙にこなれていて感心した。
同い年とか思えないんですけど。
しょうがなくカルガモのようにベッタリとリカコにくっついてクラブ内に入ると中は薄暗くて人の顔がよく見えなかった。
慣れた足取りで人の合間をくぐり抜け、クラブの中にあるバーでお酒を頼んでいるリカコに呆気に取られた。
あんた慣れすぎでしょ。
楽しそうにバーテンダーに話しかけるリカコは随分楽しそうに話していた。
私はというと…
「君一人?向こうで踊らない?」
「いや結構です」
「またまたー。一人じゃ寂しいでしょ?」
「友達いるんで」
リカコから少し離れたらこれだ。
いかにも軽そうなやつにナンパ?されて困っていた。
ってか人生初ナンパがこんなチャラついた男とか現実って残酷すぎるでしょ。
「ほらほら、向こう行こうよ!」
「ちょ、離し…」
馴れ馴れしく肩を組んで来たチャラ男から逃げようとしてもガッチリ肩を組まれているせいで逃げ切れないし、助けを呼ぼうにもクラブ内に響く音がうるさくて聞こえない。
こんな所来るんじゃなかった。
そう諦めて男に連れて行かれそうになっていた時だった。
急に男の顔が真っ青になったのは。


