ん?

ちょっと落ち着こう…

はい吸ってー。

吐いてー。

吸ってー。

吐いてー。

深呼吸を済ませた私はもう一度ビルの入り口付近には立っている厳つい男を少し離れた所から見た。

…ちょっと待てって。

マジで待て。

あれってもしかして…

同じ学部の…確か…

「あぁ!藤間牧生!!!」

「あ?」

思ったより大きい声でそう叫んだ私に厳つい男、いや藤間は物陰に隠れていた私を見つけ睨みつけた。

睨むだけの行為なのに何故だかすっごく怖かった。

その為、すでに見つかっているのに物陰から身動きが取れなかった私にため息を一つ吐きダルそうに近寄ってくる藤間。

「さっさとしろよ、若が待ちくたびれてる」

身構えた私をよそにただ見下ろすだけの藤間に安堵のため息を吐いた。

物陰から出て正面から藤間と向かい合う。

うわぁー。

高い。

自分の身長が150くらいだから藤間がすごい大きく見える。

ってだめだ。

「首痛い」

こんな大きいやつ長時間は見れないよ。

せめて5分が限界。

「さっさとしろ」

冷たい態度でスタスタとビルの中へと足を進めていった藤間の後を追うように私も小走りで後をついていった。