階段を上った二階にあるという事務所の扉を開けるとー…
「リカコ!!!」
扉を開けてすぐにあった長ソファーにグタッと眠っているリカコを発見した。
「リカコ!リカコ!」
何度揺さぶっても起きないリカコに死んでるんじゃないかって思った。
「眠ってるだけだよ」
リカコを必死に揺さぶっている時に背後から聞き覚えのある声がした。
恐る恐る後ろを振り返るとそこにはさっき会ったイケメンの顔があった。
あ、君か。なんて呑気に笑っているイケメンに対して悪意しか感じなかった。
イケメンを睨みつけているとどこからか持ってきたコーヒを啜る若頭。
ドサっと大きな音を立ててリカコが眠らされている長ソファーの真向かいにあるソファに腰を下ろした若頭。
「早速で悪いがいつから来れる?」
「…いつからとは?」
「妹の世話だ」
やっばい。
すっかり忘れ去られていた契約は無かったことにはしてくれないらしい。
「私バイトが…」
「バイト代は出す」
おぉ!若頭が一瞬神様に見えてしまったではないか!!
「ちなみに時給は…」
「そうだな…1500ってところか」
「その話乗った!!」
普通にバイトするより稼げるじゃん!!
これで好きなもの買い放題だし!!
「明日からでも大丈夫です!」
満面の笑みでそう答えると、いつのまにか若の横に座っていたイケメンが私を見ていることに気がついた。
「タカコちゃんだっけ?アツシとはどんな知り合い?」
“アツシ”と呼ばれたのが一瞬誰だか分からなかったけど瞬時に理解できたのは若頭が反応したから。


