「変な女」
笑った若頭に胸がドキッとした。
その顔が一瞬“あの子”と重なった。
だけど“あの子”と若頭と違うのは性別。
まあ他人の空似とかじゃないかな。
若頭もあんな風に笑えるんだなってそう思ったけどそんなに興味がないから放っておこうかな。
若頭から目を逸らすとVIPルームから下を見下ろせる窓へと足を進めた。
そこで私はリカコを探した。
薄暗くて上から見下ろすのは無理だと判断した私はリカコに電話をした。
プルルルルと機械音がスマホから聞こえたがすぐにお留守番サービスになった。
はあ、とため息を吐き今日はもう帰ろうと考えたがそんな事してリカコをこんなジャングルに放っておくわけにはいかない。
うぅ、と唸っていた私に若頭は神の手を差し伸べてきた。
「人探しか?」
「はい一緒に来た友人とはぐれてしまって」
半分はあんたのせいで、もう半分はイケメンのおかげだけどね。


