「行きません」
「なら名前教えてよ」
打たれ強いのかタフなのかイケメンは食い下がろうとしない。
諦めた私は、
「タカコです」
頭をフル回転させた結果母さんの名前を借りることにした。
「そっかタカコちゃんか。で、いつご飯行こうか?」
「話聞いてました?」
何回このやり取りをすれば良いのでしょうか?
一緒に歩いていたリカコはもうクラブに入ったらしく姿が見えない。
「何系が食べたい?和風か洋風?それとも俺とか?」
「…どれもいりません」
むしろイケメンお前は他の女のところに行ってくれって切実に思うよ。
このイケメン人の話聞かないしなんだか道を通りすがる女の子達がザワザワとしている。
早くこの場から立ち去りたいんだけど。
「俺来週の土曜なら空いてるんだ。どう?」
「じゃあ来週の土曜お昼12時に駅前で」
「了解、番号聞いてもいい?」
「ああ、090ー××××ー××××です」
適当な番号を言いイケメンは嬉しそうに帰って行った。
なんか私も一気に行く気なくなったんだけど今更ここまで来て帰るって言ったらリカコ激怒するんだろうな。


