間違った恋


少しの時間物陰に隠れていたか一向に帰る気配のない人影に内心焦りまくりだった。

でもこの寒いのに外で待ち続けるのはちょっとなぁ。

そう思い、足音を立てずに階段を降りてからアパートの二階にある私の家を見つめた。

あれ?そんなに地面との距離なくない?

ワンチャン壁よじ登って部屋入れたりするんじゃね?

って私の頭の中は騒ぎ出す。

試しに壁をよじ登ろうと近くにあった荷台に足をかけ、体重をかけようとした時だった。

視界が一回転して、気がつけばガシャーンと近所迷惑な音を立てて崩れて地面に転がっていた。

幸いにも近所という近所はいないので良かったのだが…

バタバタとアパートの階段を降りてきた人たちに自分の存在を知らせてしまった。

あぁ、ジーザス。

黒スーツの男二人は私を見るなり顔面蒼白になっていた。

あれ、この二人散々私の部屋荒らして下さった人じゃないか。

っていうことはやっぱり口止めに来たに違いない。