お元気ですか。
私は元気です。
あなたと離れてから5年経ちました。
もう私のことは忘れているでしょうか。
それとも、ふと思い出したりするのでしょうか。
私はね、夏が来るたび花火に照らされたあなたの横顔を思い出します。
秋が来るたびふとした時に見せる寂しげな目元を思い出します。
冬が来るたびマフラーに隠れた真剣な顔を思い出します。
そして春が来るたび、桜の中に消えたあなたの笑顔を思い出すのです。
それは毎日じゃなくて、ふとした瞬間に。
忘れかけたことを必死に繋ぎ止めようとするように。
じんわりと、はっきりと。
これからも思い出してしまうかもしれない。
何気ない日常にあなたは染み付いてしまったから。
それでも私は歩きます。
さようなら。
もうすぐ春が来ます。