白のアリア

 リルカの話を聞き終えたアリアは、そっとリルカの手を握りしめた。リルカの手は、炊事や洗濯をする為かとても荒れていた。
 その手が哀しくて愛おしかった。

 この子をこの国の民を戦わせてはいけない。

「リルカ、お願い私を逃して欲しい!
どんな理由があっても血が流れた後は、軋轢が残ると私は思うの……。
私……あなたを救いたい、一滴の血も流さずに」

「どうやって?そんな事を言って逃げるんでしょう?」

「逃げない!私、本国に行ってくる。
そして女王に白い髪の民を差別しないように
保護と圧力をかけて下さるように頼んでみる」

 リルカは驚いて目を見開いた。変わるわけない……
でもアリアの目は真実味を帯びてキラキラ光る。

「私もついて行っていいなら……いいわ。
でも逃げたら殺すから」

 アリアはうなずいた。