アリアの鮮やかなピンクのドレスに血が飛び散る。まさか本当に死ぬとは思ってなかったデュラは慌てて短刀を取り上げた。

「何をするんです。アリア姫。
男の為なんかに死ぬことないですわ」

 首が熱い……。

 しゃがみこんだアリアは、ふふふと笑う。

「ほんとね。馬鹿だね。
でもこんな私を嫌いじゃないの」

 アリアはリディア姫に負けた時は、人生が終わったような暗い気持ちで苦しかった。
 クルスに優しくされて嬉しかったが、心はまだずきずきと痛かった。
 でも今のアリアは違うのだ。


 クルスを愛している……。

 なぜならクルスは残されたアリアが無意味だと捨てた人生に意味を与えてくれたからだ。頑張った過去のアリアの為に幸せを願ってくれたから。

 アリアは嬉しかった。だから、クルス達の役に立ちたかった。そこに例えばアリアがいないとしてもそれで良かった。