戸惑うアリアをよそにデュラはとてもご機嫌ではしゃいでいた。

 何がそんなに嬉しいのよ……。

 アリアはイライラして、そして
脳裏にぽんと笑顔のクルスが浮かんだ。
 ぽろり、涙があふれる。

「あらあらアリア姫、何もなく事ないですわ〜。お優しい王様と卑しい悪魔は、きっとアリア姫の為に王位を譲って下さいますわ」


 デュラはサラリと聞き捨てならない事を言った。

「なんですって?」

「そのままですわ。アリア姫の命と引き換えに王位を譲るように、お伝えしました
の。
あの馬鹿みたいに優しい方々なら
……きゃっ」

 アリアはデュラに飛びかかって、首を押さえつける。そうだろうとアリアは苦笑いする。デュラの言うとおり、あの二人は馬鹿みたいに優しいのだ。でもそんな二人をアリアは悲しませたくなかった。

「でしたらどうなさるの?いっそここで自害されます?」

 デュラはスカートの下から、小さな短刀を取り出して、アリアに渡した。