「へー。さすが職人。シワひとつ無いね」

張り終えたキャンバスの生地を指でなでた。


安西の専攻は日本画。

だからキャンバス張りをすることは滅多になかった。


「当たり前だろ」


「ねぇ。私のも張ってよ。今度、油画の授業があるの」


「何枚?」


「2枚」


「じゃ、それとこれ持ってけよ」


「ほんと!? ラッキー!」


安西はニコニコしながらキャンバスを四方から眺めた。