真木は少しばかり驚いた表情で僕のことを見た。


(ちぇっ!)

(やっぱり野地かよ!)


僕は心の中でつぶやき、苛立ちを隠さないまま無言でデッサンの道具を袋にしまった。


そして少し乱暴に椅子をどかしてアトリエを出た。


最悪だ


真木の眼に、僕は嫌なヤツに映ったにちがいない。


席を離れるとき、淋しそうに僕のことを見た真木の顔が頭から離れなかった。