11月も半ばを過ぎると、木々の紅葉も鮮やかさを増していた。

僕は大きな壁にぶち当たったままでいた。

油科の先輩の勧めで、僕は伊藤先輩を訪ねることにした。

渡されたメモを頼りに先輩の家を探す。

威勢のいい掛け声が響く商店街を抜けると、雑居ビルの横に、こじんまりとしたアパートはあった。

築50年くらいの、くたびれた建物だ。