虹色キャンバス

「お前の家だって金持ちなんだから、相手の親だって反対はしないだろ?」


「どうかなぁ。音楽一家だっていうから、やっぱり相手も音楽家がいんじゃないの?」


「ダメでしょ。そんな弱気じゃ」

安西が軽くパンチをした。


「そうそう。ガンガン押してゲットしろよ」


「だよな。押しまくるだけだな。…ほんじゃ、気をつけてな」

村上はショルダーバッグをたすきがけに掛けると、鼻歌を歌いながら大通りを歩いて地下鉄の駅へ向かった。