ハッとして勢い良く見上げた。
「……っていうか、あれはシノだったのか?」
「そうです。実は私とも会ったことはあるんですよ、ディア様」
「………すみません、あまり覚えてないですけど…」
街中で偶然あった年の近い子供たちと、一緒になって遊んでいた。
どこの誰かなどと確認することは、子供たちの間では関係ない。
「シーフィラノ様は王都からこちらの宮殿に来るたび、抜け出して街中を散策していましたから」
懐かしそうにケーノサは笑みを浮かべて話す。
「もっぱら私が道案内でしたが」
訳あって下町で暮らすケーノサの様子を見に、会いに来ていた。
アルカディアは先程、街中を散策していた時に思い出した人影は3人の男の子たちを思い出そうとしていた。
目の前にいるケーノサは黒髪。ということは黒髪の男の子だ。
シーフィラノは淡い黄土の髪。
「『えーさま』『びーさま』『しーさま』じゃなくて…『けーさま』だ?!」
「はい、当たりです」
くすくすと柔らかな笑みを浮かべたケーノサを見て、ディアもほっと安心する。
過去を共有していることで、親近感が湧いたからだ。
「言霊、というのをご存じですか?」
「言霊?」
「言った言葉に力が宿るそうです。過去に放った言霊が成就される。それがこの病に似せられた、呪いを打ち砕くことになるのだと……」
「…って、呪い?」
「はい。大国の王子ということで、内外問わず、いろいろな干渉を昔から受けておられる。しかも、言霊の祝福を授かっているとのウワサが数年前に一部の者達に広まったのも事実。ま、コレが呪と分ったのも1年ほど前のことですが」
どんなに医師の診断を仰いでも結果は不明。
それを不思議に思った者が試しに呪いを遮る術を行ったところ、効果が表れたのだ。
「呪いを打ち砕くための言霊の成就を、私たちは期待しています」
「……っていうか、あれはシノだったのか?」
「そうです。実は私とも会ったことはあるんですよ、ディア様」
「………すみません、あまり覚えてないですけど…」
街中で偶然あった年の近い子供たちと、一緒になって遊んでいた。
どこの誰かなどと確認することは、子供たちの間では関係ない。
「シーフィラノ様は王都からこちらの宮殿に来るたび、抜け出して街中を散策していましたから」
懐かしそうにケーノサは笑みを浮かべて話す。
「もっぱら私が道案内でしたが」
訳あって下町で暮らすケーノサの様子を見に、会いに来ていた。
アルカディアは先程、街中を散策していた時に思い出した人影は3人の男の子たちを思い出そうとしていた。
目の前にいるケーノサは黒髪。ということは黒髪の男の子だ。
シーフィラノは淡い黄土の髪。
「『えーさま』『びーさま』『しーさま』じゃなくて…『けーさま』だ?!」
「はい、当たりです」
くすくすと柔らかな笑みを浮かべたケーノサを見て、ディアもほっと安心する。
過去を共有していることで、親近感が湧いたからだ。
「言霊、というのをご存じですか?」
「言霊?」
「言った言葉に力が宿るそうです。過去に放った言霊が成就される。それがこの病に似せられた、呪いを打ち砕くことになるのだと……」
「…って、呪い?」
「はい。大国の王子ということで、内外問わず、いろいろな干渉を昔から受けておられる。しかも、言霊の祝福を授かっているとのウワサが数年前に一部の者達に広まったのも事実。ま、コレが呪と分ったのも1年ほど前のことですが」
どんなに医師の診断を仰いでも結果は不明。
それを不思議に思った者が試しに呪いを遮る術を行ったところ、効果が表れたのだ。
「呪いを打ち砕くための言霊の成就を、私たちは期待しています」



