正直なところ、そこから先の朝陽の話は断片程度にしか覚えていない。
 明日、サッカー部の仲間で手つかずの夏休み課題を仕上げる勉強会があるとかなんとか。場所が寺だとか。

「終わっているヤツの数がたりないんだ。人助けだと思って頼むよ」
と言うからには、紗菜にも課題を持ってきてほしいということなのだろうし、
「来なかったら、いつもグラウンドを見ているとみんなにばらすから」
というのは、人に物を頼むときの態度ではない気がした。

 溶けかけたシャーベットと朝陽が使ったスプーンを持ったまま、仕方なく紗菜は了承したのだった。