男の子の力は強い。紗菜は押された肩の鈍い痛みを感じながら、成り行きについていけずにぼう然とした。
 拒絶されたのだと思うや否や、涙が滲んできた。気持ちは浮上したぶんだけ落下も激しくなる。俯いた。

「あ、だから違うって。泣くな」

「違うって、なにが」

 慌てた声の主が覗きこんでいるのがわかる。荒っぽく突かれた肩に今度は同じ手がそっと置かれている。

「これじゃ余り者同士でどうにかしようって言ってるみたいだから。そんなの紗菜に失礼だ、って思った」


 拒絶ではなかった、と紗菜はようやく冷静さを取り戻した。

「朝陽くんでも失礼とか、そういうこと考えるんだね」

「言ってくれるね」

 へへ、と泣き笑いの目を向けると、朝陽にも伝わったようだ。心なしかほっとしたような笑みを向けてきた。


「じゃあさ」

「うん」

「花火は? 花火しない?」