「じゃあここに」
「は? え?」
「あれ? 送ってくれるんじゃないの?」

 内ポケットからスマホを出した樽見さんが小首を傾げた。そういうキュートな仕草ができる人とは思ってなかっただけに破壊力十分だった。なによりこの人とのこの距離が心臓に悪かった。

「あ。送ります送ります」
「ん」

 イケメンとアドレス交換となった。でもどうせこれっきり連絡を取ることはないだろう。
 それじゃあと挨拶をして行こうとした。


「ソエジマさん!」

 あれ、私、名乗ったっけ、ああ画像を送ったときに見たのね、なんてどうでもいいことを考えている私に、彼は今ほどより若干歯切れの悪い口調でこう訊いてきた。

「副島さん、週末、今週末なんだけど。ヒマある?」