吼児君の純情物語Ⅱ

次の日…。
3年生は受験が終わると、いよいよ卒業式の練習へと入る。
しかし卒業式の練習ほど、かったるいものはない。
歌の練習、返事の練習、賞状の受け取り方の練習、礼の練習、入退場の練習など、様々なものがある。
途中で飽きてしまい、大あくびをして先生に怒られる者も出てくる。
しかし、吼児の心の中は予行練習とわかっていてもジーンと来るものがあった。
本当に中学3年間なんて、あっという間だ。
午前中の練習も終わり、3年生はこれで帰宅になり、卒業式の15日まで、毎日がこんな感じである。
だけど吼児には、その前に一大イベントが…。
合格発表がそれだ。
1日、2日と過ぎていき、合格発表の日がやってきた。
発表は、9時からである。
朝から、吼児は落ち着かない。
(もし、落ちてたらどうしよう…。ーーいいや、きっと大丈夫だ。梢ちゃんのお守りが守ってくれる!)
吼児は、梢から貰ったお守りをぎゅっと握って、高校へと向かった。
きらら達はすでに来ていた。
きららの浮かれようは、きっと合格しているのであろう。
愛子やひろし、クッキーの笑顔も見えていた。
「あっ、吼児君おはよう。私達全員合格したよ。」
クッキーが、嬉しそうに言った。
「吼児も、早く見てこいよ。」
ひろしが吼児の背中を押し、合格者の番号が貼り出してある場所まで連れて行った。
「どうだ吼児、あったか?」
吼児は学生服のポケットから受験票を取り出し、自分の番号を探す。
「あった…。あったよ、ひろし君!」
吼児とひろしは、手を取り合って喜んだ。
「地球防衛組は、全員合格ね!」
愛子はウィンクして、Vサインを出した。
それから、みんな学校へ報告して帰宅した。
「ただいまー!お母さん、合格したよ!」
玄関を開けて、大きな声で言った。
母は待ってましたとばかりに、台所から飛び出してきて、嬉しい報告を聞いた。
「今夜はお祝いよ。吼児の好きな物、たくさん作ってあげるからね。」
そう言って、再び台所へと入って行った。
吼児は2階の自分の部屋に行き、梢の写真を見つめた。
「梢ちゃん。僕、合格したよ。君のおかげだよ、ありがとう…。それと今夜、僕に力をかして…。」