吼児君の純情物語Ⅱ

「僕は、私立高校を受けるんだけど、受験日は2月15日なんだ。」
ひでのりは、小声で答えた。
「俺は、公立高校一本だから、3月1日、2日だよ。」
大介も、小声で答えた。
「お互い、頑張ろうね。」
吼児が、笑顔で言った。
それから3人は、黙々と勉強を始めた。

日が経つにつれ、クラスの中に残っている人が少なくなってきた。
それが余計、吼児に緊張が走る。
「あと、1週間だ。」
もうすでに、ひでのりは私立高校の合格を決めていた。
3年生は、昼を過ぎると自宅学習になる。
吼児は、足早に家に帰った。
母も結構気を使っていて、家に居てもあまり話し掛けてこなくなった。
吼児はすぐに自分の部屋にこもり、着替えながら、ふと梢の写真に目がいった。
「梢ちゃん…。」
その日の夜、勉強をしていると、下の階から母の呼ぶ声が聞こえた。
「吼児!梢ちゃんから電話よー。」
吼児は、2階にある電話を取った。
「もしもし?」
『あっ、吼児君?忙しい時に電話なんかしちゃって、ごめんなさい…。でも、どうしてもお話がしたくって…。受験まで、あと1週間ね。ラストスパート頑張って!』
「ありがとう、梢ちゃん。とっても嬉しいよ。僕、頑張るから心配しないで。」
『そうよね。吼児君、頑張り屋さんだもんね。…でも、あまり無理しないでよ。おやすみなさい…。』