「どっちが元カレ?」



沈黙を破ったのは、米倉くんの方だった。



わたしの方なんて全く見ないで、




こう切り出してきた。



「左の茶髪の方」


「ふーん……」



自分で聞いた割には薄い反応……。



なんだろ……。



さっきまでと違ってトゲトゲしい態度。


握られてた手に力が込められた。



「……まだ好き?」



「えっ……?」


思いがけない質問に、わたしは米倉くんを見つめた。



真剣な顔した米倉くんがわたしを見てる……。




この質問で、わたしは改めて自分の気持ちを考えてみる……。



わたしは、



善くんが好きなの?




「好き……だった」


そうだ。



好きだったんだ……。



「ふーん……」



やっぱり、聞いてきた張本人の反応は薄くって……。



でも、



握られてた手の力は柔らかくなっていた。



「そっちは?」


「なに?」


「昨日の元カノ……まだ好きなの?」



全くおんなじ質問を米倉くんに投げかけた。



米倉くんは視線をわたしから外して、



しばらく黙り込む。