放課後。


わたしはまだ学校の中にいた。


別に学校が好きなわけじゃない。



どうせ……彼氏もいないわけだから時間は余ってるけど……。



目的は、六限で使った音楽室に携帯を忘れたから取りに来ただけ。



とりあえず、音楽室でさっきまで自分が使ってた席に真っ直ぐ向かう。


携帯無事発見!



「あっ……た……」


けど……、なんでこんなモノまで……。



さっきまで使ってたわたしの席には、やたら黒くてやたらテカテカの先客がいた……。



最悪……。



出来ればコイツとは関わりたくないなぁ~。


「うりゃっ!」


気がついたら、手近にあった忘れ物の教科書を振りかぶっていた。



「よしっ」


携帯無事救出!!


目的を果たしたら用はない。



例の忘れ物の教科書をそのままに、わたしは音楽室の出口に向かう。


「あっ……」


何故か出口には見覚えのある顔。


今の見られた……?



確かこの人は……、

同じクラスの……、


「ネクラくん……」

じゃなかった、


「米倉くん」


とっさに言い直したけど……バリバリ聞こえてたみたい。