あの隙間から見上げた空

ねえ、
逃げよう!!

思わず
そんな言葉が
口をついて出た。

ケンはぼんやりとした顔で
あたしを見つめ返してくる。

「ねえってば!
このままでいいの!?
親の言いなりになって
結婚しちゃうの?」


ケンは
何もいわない・・・。

しばらく黙っていたけど

あたしをぎゅっって
苦しくなるくらいに
抱きしめながら

「ごめんね。
弟や妹のこと、考えたら
俺にはこうするしかないんだ。」
ケンは泣いてた。
気付いたらあたしも
ほっぺがぬれてた。

だめなのかな、もう。




「あたし、愛人でもいいよ。」