ある日、僕は目を覚ました。
腕には栄養をあたえるための点滴が繋がっていた。
うっすらと人影が見えるが誰だかよく見えない。
見えたとしてもわからないだろう。
お腹が空いた。僕は泣くことしか出来なかった。

看護士さんに抱かれ母らしき人の病室へ。
母に抱かれ僕は泣き止んだ。母の目にはうっすらと涙がにじんでいた。
ベッドの横には父が座っていた。父は母に
「よかったな。」
と一言言った。
母の目からは涙が零れた。
3日前の正午過ぎ。
母は分娩室にいた。病院のロビーに父と祖父母がいまかいまかと落ち着かないようすで待っていた。
それから2時間がたった頃分娩室から看護士さんが一人出てきました。
看護士さんは少し俯き加減で表情はくらかった。
父が
「産まれたんですか?」
と看護士さんにたずねる。看護士さんは
「はい。」
と一言いい、少し時間を置いて口を開けた。
「お子様は産まれたのですが、仮死状態です。今、保育器に移して処置をしています。」
と。
そこにいた父と祖父母は返す言葉がなかった。
予定日よりは2週間も遅かったにも関わらず、体重2300gと少し小さめでした。
生まれてきたとき僕は「オギャー!!」と泣