「もう臨時休業とかにしちゃえばいいじゃないですか~三人しかいないなんて、無理!」
怜奈がハァと、諦めたようにため息をつく。

「うーん、でもなぁ……いきなり休みにするってのも……」

店が休みになったら遊びに行く気満々の怜奈と、店を営業したいが問題を抱える雅人さん。

どうする――?

もうこうなったら――。

「大丈夫です! いつもどおり店を開けましょう」

従業員が足りないかもしれないのに、特に対策を考えているわけではないけれど、なんの根拠もなく私はそう言っていた。

きっと、石堂さんだったら「いいから店開けろ」って、そういうに決まってる――。

「えー、クリスマスの時、すっごい大変だったんだよ? 里美が作ってくれたチラシのおかげなんだけど?」

怜奈がチクリと私に愚痴る。クリスマスの時は不甲斐なく店を休んでしまった。しかも自分の作ったチラシ効果で大変な思いをさせてしまった。

「うん、だからこそだよ。私、そのぶん頑張る! 石堂さんにコーヒーの淹れ方教えてもらってるし、雅人さんにフォローしてもらうかもしれませんけど、ホールも私がやるよ」

「コーヒーなら僕にも任せて、これでも現役店長時代は行列ができるくらい――」

「あ~雅人さんの自慢話は結構ですー。うん、わかった! 里美がそういうなら大丈夫な気がしてきたよ」

雅人さんは怜奈に話を遮られてしょぼんと肩を落とす。けれど、すぐに顔を上げるといつもの笑顔を私に向けた。