酔った私を起こしてくれて、介抱してくれて。

澪に頼まれた男は、私を自宅に送り届けてくれた。

送って帰ろうとする男の手を掴んだ私は、酔ってることをいいわけに、寂しいと涙目で呟けば。


『今夜から、君を溺愛するから』

そう言って、男はその晩、私を抱いた。

…。

思い出した。

「…俺の名前、思い出せる?」
「…」

「…無理?」
「…宗吾」

昨夜、私はこの名前を何度も何度も囁いた。

忘れられる訳がなかった。

「…葉瑠、君はもう俺のモノだよ」
「…!!」

ぎゅっと抱き締められて、宗吾の匂いで一杯になった。

これは、男物の香水。

どこかで嗅いだ事があるような。