「…ちょっ、何処に行くの?」
「…ちょっと食事に」

「…降ろして、私は何時もの場所がいい」
「…今夜だけは我慢してくれ。どうしても、葉瑠を連れていきたい所があるから」

…真剣な横顔に、反論する言葉が出なくなってしまった。

真剣と言うより、少し怖い顔。

黙りこんだのをいいことに、車内は異様な空気。

そうこうしてるうちに着いたのは、高級ホテル。

そこのレストランの一番奥、二人で食事に来たものだと思っていた私は、同席する人達に、息をのむ。

高嶺社長、社長夫人、若くて可愛らしいお嬢様。

私は複雑な顔で、宗吾の顔を見る。すると。

「…大丈夫、葉瑠は食事を楽しんでくれたらそれでいいから」

と、微笑まれても。


どうみても、無理ですが。