「杏樹がアメリカに残りたかった事は分かってた　だから中学から全寮制の学校がないか探したのよ」

「え⁉知らなかった」

「でも、アメリカは大体の子が公立の高校に進学するから杏樹が全寮制の私立の学校に通っても友達がいないかもしれない。それだったら日本に帰国し、学校に通うのと変わりはないと思ったの。」

「そうだったんだ」

「確かに日本とアメリカの学校の仕組みは全然違うから戸惑うこともあったと思うわ。」

日本は「集団生活」でアメリカは「個人の育成」なため授業はもちろん学校の仕組みがまるで違った。だからこそ戸惑った時もあった。

「…」

「でも杏樹は本当に心を許さないと他人には決して悩みを相談しない子。だから一緒に日本に帰国し、そばに居たかった」

その言葉を聞いたとき私は涙が出た。

「お母さんありがとう」と言い抱き着いた。

お母さんは少し嬉しそうに「甘えん坊」と言いながら頭を撫でてくれた。