「いるんですかっっ!?!?」

カメラも忘れたかのように、颯さんは彼の肩を揺さぶる。

「そうですね、います。」

颯さんの熱量に若干引きながらも、やはり彼は明瞭な声でそう言った。スタジオからはなんとも言えない悲鳴が聞こえる。

「ズバリそれは誰!?」

根掘り葉掘り追及する颯さんは、もはやお茶の間の代弁者である。

「それは、言えません。
"彼女"にも迷惑をかけてしまうので。」

「えぇ〜」と、颯さんも観覧者も落胆する。その反応に八王子アナは悪戯っぽく微笑んだ。


「ヒントも………なしですか?」

何故か颯さん自身その話題が気になったのだろう。さすがは売れっ子俳優、上目遣いで目を輝かせて八王子アナに願い出る。