「いや、いないですって!
八王子アナこそ、どうなんですか!?」

Sっ気に半分やられかけている颯さんが苦し紛れに聞き返したことで、涼子も私も身を乗り出してテレビに食いつく。

『サタデープリンス』を何度か観ているが、基本的に過去の放送では八王子アナが話を振ることが自然になっており、
「えぇ。」「なるほど」と相槌を打つことは多々あれど、彼自身が恋愛トークをするのは初めてかもしれない。


「そうですね、私は……。」

「プリンス様の恋愛話なんて、きっと今、沢山の人が画面に貼り付いてますよ!」

颯さんの煽りに、こくこくと頷く私と涼子。

「じゃあ、お応え致しましょうか。」

八王子アナは困ったように眉尻を下げながらも、誤魔化そうとする雰囲気はない。