鏡の中の三津代は、歳をとっていた。


最初見た時別人だと思ったけれど、よく見ると間違いなくその顔は三津代のものだった。


短い睫毛に大きくて少しつり上がった目。

太くて濃い眉毛、瞼の上の小さなほくろ。

あごにある幼い頃に作った猫の引っ掻き傷も、いまだにぼんやりと残っていた。

「…私?これ…どういうこと?」


白髪が増え、体型もずいぶんもったりとした三津代がそこにいた。


「…岸さん。」

看護師が後ろから声をかけた。


「状況が分からないと思いますので…とりあえず、先生のところへ来てください。」


「……。」


三津代は返事をせず首だけ頷くと、看護師のあとについていった。


事実を知ることの恐怖が、瞬時に三津代の心をを襲う。