ハァハァハァ…

全力で走った。


足が痛んだせいもあるが、びっくりするほど、体が重かった。


息が切れたので、少し整えるために近くの公園でベンチに腰を下ろした。

「あ…この公園。」

偶然ついたその公園は、
何度か来たことのある、「ひだまり公園」だった。。

その変わらない景色は、安堵感と絶望感で、三津代の心をざわつかせた。

平日の昼間の公園は、人が少なくて、風が気持ちよくそよいでいた。

ふぅ。


とりあえず、全力で走ってはみたもの

この先何処へ向かって走ればいいのかよくわからない。

三津代は複雑な気持ちで、公園を見渡した。


この公園は、図書館が近くて
勉強を言い訳にして小林君と二人で何度か、散歩したりした。


遊具がいくつか変わってるけど、ベンチの場所はあの時のまんま。

何も変わってないような錯覚に陥る。


小林君…。


ちょっと泣きそうになる。

すると突然、三津代の携帯電話が鳴った。


初めての携帯でビックリしたが、恐る恐る通話ボタンを押した。


「…も、もしもし?」


電話の相手は、黙っている。