さよなら、嘘つき君。




――ガラッ


『成瀬君、そろそろ教室戻りな~。って、桜庭さん起きてたの?大丈夫?』


私が口を開こうとしたとき、保健の先生がちょうど保健室に帰ってきた。先生は成瀬君に向かって言ったあと、私を見てもう一度「大丈夫?顔が赤いけど」と言ってきたのだった。


『じゃあ、俺は先に教室戻ってるね』

「う、うん。ありがとう」


成瀬君は私を置いて、保健室を出た。


『桜庭さん、熱でもあるの?』

「い、いえ、大丈夫です」


――先生、本当は大丈夫ではありません。


成瀬君に真剣な表情であんなこと言われたら、私の心臓が持ちません。私は成瀬君の優しさとあの本音に、サクッと胸を打たれてしまったようです。