縛られし者





もう使えないお父様にはうんざりしていましたし、そろそろ話そうとも思っていましたし。



何よりもそろそろとは思いつつも言いあぐねていたのですから、もうこれを利用しない手はありませんね。



彼のことはもう諦めましょう。


どう考えても一条聖斗先生に話をした方がメリットが大きいです。



「出場するつもりはありませんでしたが、諸事情で気が変わりました。やはり出場させていただきます。」



突然意見を変えた私に、一条聖斗先生は訝しんでいるようです。



「その代わりと言うか、一条聖斗先生にお願いしたいことがあります。」

「俺に?」

「はい。ですがもうそろそろ午後の授業が始まる時間なので、その話は放課後でもいいですか?」

「あぁ。放課後進路指導室に来い。」

「わかりました。」