縛られし者





「全日本学生音楽コンクールというもので、貴方ならどの部門でも好成績を残せると思いまして。」

「それって、音無詩音先生が中学生、高校生の部のヴァイオリン部門で6年連続優勝を果たした、あの音楽コンクールのことですか?」

「そうですよ。よく知っていますね。」

「まぁ、音無詩音先生は有名ですから。」



音無詩音様と言えば、世界でもトップクラスのヴァイオリンの腕を持つと言われている方。



音楽界で音無詩音先生のことを知らない人は居ないと言えるくらいには有名です。



「お前はどうして自分がコンクールの話をされているのかわかっていないみたいだな、紫雨。音無先生は音楽の授業でお前が弾いたピアノの腕を高く評価しているらしい。」

「音無詩音先生が?」

「紫雨さん、ヴァイオリンは弾けますか?」

「それなりには弾けると思いますが………それが何か?」



何故ヴァイオリン?


今はヴァイオリンの話なんて一切していなかったはずですが………。