他の教師とも話しかけられるまでは話をしない紫雨が、何故か俺にだけは不自然にならない程度にだが話しかけてくる。
どんなに理由を考えてもわからない。
そんな疑問を抱えながら、俺は紫雨の家に家庭訪問にやって来た。
「………いや、これは家と言うより屋敷だろ。」
「一条先生、お久しぶりです。」
「如月さん。」
屋敷の中から出て来たのは、如月兄弟の母親の如月茜だった。
「えっと、先に稜と慧の話を先にしてほしいそうです。それと、潔音ちゃんの家庭訪問は自分がするから仕事が一段落するまで待ってほしいと。」
「なら先にそちらを済ませましょうか。」
紫雨恭弥は、うちの学校のスポンサーでもある紫雨財閥の社長。
メディアにも出てこないから俺も顔は知らないんだけどな。

