〜聖斗side〜



頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群で温厚篤実、温柔敦煌で才色兼備。


他にも温和怜悧や当代無双、秀外恵中、英俊豪傑などのありとあらゆるいい言葉を何故か四字熟語を使って表現される紫雨潔音。



そんな綺麗な言葉で飾り立てられた中で生活する紫雨を見て俺が思ったのは、公平無私で無欲恬淡な奴だった。



紫雨は、基本的に誰かへ自分から関わりに行くことは少ない。



浅く広い人間関係に、笑顔のまま殆ど変わることのないそれは俺からすれば無表情と同じもので、それでいて笑っているのに笑っていない苦しそうな作り笑顔が印象的だった。



今や学園の人気者となった紫雨だが、誰かに話しかけられるまでは如月兄弟達としか話をしないし、自分から誰かに話しかけに行くことはほとんどない。



最初に言っていた通り、紫雨は如月兄弟とも仲良くなろうとしているようには見えなかった。


それなのに、義理とは言え姉弟と仲良くしようとしていない奴に、俺は何故か懐かれたようだった。