「潔音、出発するぞ。」

「はい。」



私とお父様はお花屋さんから頼んでいた花を受け取って車に乗り込み、とある場所へと向っています。



後、周囲を歩いている人とかの視線がやたらとこちらに向いているのは、この車がフェラーリだからでしょうか。



「潔音………お前は茜達のこと、本当はどう思ってるんだ?」

「別にどうとも思っておりませんが、それが何か?」

「どうとも思ってないということは、俺が茜と再婚することに反対なんだな?」

「別に反対はしておりません。」

「でも賛成もしていない、か………。」



そんなことはわかりきっているでしょうに、お父様は今更何を………。



「私は………。」

「ん?」

「私の母親は、お母様だけです。」



良くも悪くも、ですが………。



そして、今お父様が思い返しているのは、おそらくはあの頃の………そして、あの日のあの場面。