縛られし者





「ほぼ言い終わってたんだから今更言い直す必要はないって。寧ろ言い直された方が心に響く。って言うか失礼しましたって言ったのに何で言い方を変えて俺を貶すの。」



そして、何故か恭弥さんは慣れた感じで潔音ちゃんに言い返している。



「そんなことよりも、無駄にぐるぐると街中を徘徊するよりも、どこか行く場所を決めて向かった方がいいです。」

「それなんだよな………。潔音、どこかいい場所ないか?」

「…………………少々お待ちください。」



長い沈黙の後、潔音ちゃんはそれだけ言ってカバンからノートパソコンを取り出して物凄いスピードでキーボードを叩き始めた。



「ご希望は?」

「そうだな………なるべく情報漏れのないところがいいな。それと融通が利くところ。」

「距離は?」

「まぁ1時間程度で移動できる場所がいいが、その時間内なら後はお前が決めてくれて構わない。」

「紫雨は……。」

「紫雨とはあまり関係ない場所がいいな。そうだな………出来ることならお前の持ってる所のどこかがいい。
その条件でありそうか?」