縛られし者





〜茜side〜



ファミレスを出て、私達は恭弥さんの持つ車に乗ってどこかへ向かっている。



私が乗っている助手席から斜め後ろを見ると、そこには窓の外を眺めている潔音ちゃんが居る。



それにしても………。



「恭弥さん、それで……どこに向かってるの?」

「それが………どこにも向かってない。」

「はぁ………。」



気の所為かな?潔音ちゃんからため息のようなものが聞こえた気がする。



「いやぁ、はっきり言うとどこに向かえばいいんだろう的な?」

「果てしないほどの愚か者………いえ、失礼しました。考えなしのアホですね。」



潔音ちゃんの容赦の無い言葉に、心做しか稜と慧の口元がひきつっているような気がする。