縛られし者





「3歳の子供を成人した大人と間違えるのは無理があるのではと思いますけど、それが起こりうるのが精神を患った人間なのです。」

「確かに、精神を患った人間は何をするかわからないからな。閉鎖病棟なんてのもあるくらいだし。」

「私は、今でこそお母様にとても良く似ていると言われますが、昔はどちらかと言うとお父様似だったようで………そのこともあって、お母様は私をお父様だと思い込むようになったんです。」



紫雨潔香がそうなった経緯については同情に値するが、それでも紫雨が一番可哀想に思えてくる。



「お母様がそうなったのはお父様が来なくなった数ヶ月後のことで、私がお母様と本当の意味で一緒に過ごした時間は、その数ヶ月間だけのものでした。
私がどれだけ語り掛けても、お母様が求めるのはお父様だけで、そのお父様に私がどれだけ帰ってくるように頼んでも、お父様は全く応じてくれませんでした。
私では、駄目だったんです。
お母様を正常に戻すことも出来ず、かと言ってお父様をお母様の元へ連れて行くことも出来なかった。周りから天才だ鬼才だと言われようと、私自身は結局それだけの価値しかなかったんです。」



………紫雨が自分に自信がないのだろうということはわかっていたし、それを疑問にも思っていた。


だが、その疑問はたった今解決した。