縛られし者





「旦那様は、まさか潔音様が自分のやらなかった仕事の処理をしているとは考えもしなかったのだと思います。秘書である八雲瑛斗様がしていると思っていたのでしょう。
潔香様を喪った喪失感からか、旦那様の脱走はその頃相当酷かったのです。そんな旦那様の胸の内を察してか、潔音様は文句一つ言わず黙々と書類仕事をされておりました。当然潔音様のストレスや疲労による身体的な支障は治ることなどなく、酷くなる一方でした。潔音様は、私が止める言葉など耳に入っていないご様子でしたし、食事も喉を通らない程に疲弊しきっており、本当に見ていられませんでした。」



むしろそれで疲弊しない4歳児が居るならぜひ会ってみたい。



「その頃からです。潔音様が疲労で頻繁に倒れて大熱を出すようになったのは。
勿論毎回大熱を出していたわけではありませんが、今回のように倒れるのは毎回のことでした。
潔音様自身、ただストレスや疲労だけで倒れているのではないことぐらい理解しておられましたが、食事が喉を通らないのです。そこで潔音様は、栄養剤や高カロリー飲料で食事をしないことで不足した栄養素やカロリーを補おうとされました。………潔音様が栄養剤に頼りきるようになるのは想像に難くないことだとは思いませんか?」

「確かに………便利アイテムが如く使いまくるだろうな。そして、次第にそれでは満足しなくなる。」



自作の栄養剤を語る時の紫雨は生き生きとしてたし、あれは今の話のが原点か………。